阿納（あのう）はかつては道路がなく、半農半漁で暮らす陸の孤島のような地域でした。50年ほど前にトンネルができると民宿ができ始め、今でも集落の全18軒のうち14軒が民宿を営んでいます。僕も、海水浴場から歩いて30秒ほどのところにある民宿の3代目をしています。30年ほど前からフグの養殖を始めたので、お泊まりいただく方には海を感じながらフグを召し上がっていただくのが鉄板コースです。明け方になると、浜の向こう側から朝日が登ってくるので、朝の海沿いを散歩するのもおすすめです。

12~3年ほど前から、阿納では教育旅行の受け入れを積極的にしています。時代の流れで民宿の人気が低迷していく中、危機感を感じた阿納の民宿が一丸となって力を入れたのが教育旅行でした。そこで民宿組合で「阿納ブルーパーク」という海の体験施設を運営し、釣り堀で養殖の鯛を釣り、それを学生自ら捌いて食べてもらうという、命をいただく体験や、シーカヤックで自然と触れ合っていただいています。不思議なことに、ここでの体験を通して、魚嫌いが治る子もいるんですよ。